女性に多い鉄欠乏性貧血や妊娠中の貧血状態はよく知られています。貧血を改善するためには、鉄分をたくさん含む食品をとるのが基本とされていますが、食品によって鉄分の吸収率が違うこともあります。そして、健診などで貧血と診断されると鉄剤が処方されることがあります。たとえ貧血と診断されていなくても、ライフステージに応じて貧血になる可能性もあります。基本的にはふだんの食事で鉄分を積極的にとるように心がけたいものです。意識して、毎日コンスタントに食事から鉄分をとることが大切です。しかし、現代の生活では難しいことも否定できません。ここでは鉄分の効率的な取り方とオススメの商品をご紹介します。
鉄分の吸収率を高める「タンパク質」「ビタミンC」をプラス
毎日の食事で鉄分を効率的にとるためには、どんな食べ方をしたらいいのでしょうか? 「鉄分をたくさん含む食品」と、「とり方のコツ」についてお話します。効率よく鉄分をとるためには、まず次の3点があります。鉄分の特性を知って、食材を上手に組み合わせて吸収率を高めることがポイントです。
◎野菜・穀物類より、肉・魚に含まれる鉄分のほうが吸収率が高い
◎鉄分の吸収率を高めるには、たんぱく質、ビタミンC、酸味、香味を組み合わせる
◎特定の食品に偏らず、1日3食でいろいろな食品からとる
☆肉・魚類と野菜類では、含まれている鉄分の種類が違う
鉄分が多く含まれている食品といえば、レバーや小魚、小松菜などの青菜類を想像すると思います。ただ、同じ鉄分でも肉や魚に含まれるものと、野菜や大豆製品に含まれるものでは、種類も性質も違います。食品に含まれる鉄分には、肉や魚の赤身に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀類、豆腐、海藻類などに多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。動物性のヘム鉄は、人体への吸収率が10~30%と高いことが特徴です。また、ヘム鉄は「ヘム」というたんぱく質に包まれた状態の鉄で、他の食品と一緒に摂っても吸収を妨げられないという利点があります。非ヘム鉄は、胃で吸収しにくい三価鉄から二価鉄に還元されたのち、小腸で吸収されます。ヘム鉄に比べると、吸収率は5%以下と低いですが、食べ方によって吸収率を上げることができます。
【ヘム鉄】 | 【非ヘム鉄】 |
●主に肉や魚など動物性食品に多く含まれる ●15~25%と吸収率が高い | ●主に野菜や大豆製品に多く含まれる ●2~5%と吸収率が低い |
<多く含まれる食品> ・豚レバー(生)……13.0mg ・鶏レバー(生)……9.0mg ・赤貝(生)……5.0mg ・牛レバー(生)……4.0mg ・牛肉(生・赤身)……2.8mg ・めざし(生)……2.6mg ・砂肝(生)……2.5mg ・まいわし(生)……2.1mg ・かつお(生)……1.9mg ・まぐろ(生・赤身)……1.8mg ※『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』より作成 *レバーはビタミンAを多く含有するので妊娠初期は食べ過ぎに注意 | <多く含まれる食品> ・レンズ豆(全粒・ゆで)……4.3mg ・納豆……3.3mg ・小松菜……2.8mg ・枝豆……2.7mg ・ひじき(鉄釜・ゆで)……2.7mg ・厚揚げ……2.6mg ・サラダ菜……2.4mg ・そら豆…………2.3mg ・水菜…………2.1mg ・ほうれん草…………2.0mg ※『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』より作成 |
☆非ヘム鉄の吸収力をアップさせる
せっかく鉄分の多い食品を食べても、吸収率が低いのでは残念です。実は、鉄分の吸収率は、一緒に食べる食品の栄養素によって、アップすることができるます。
◎たんぱく質で吸収率アップ
非ヘム鉄を含む野菜・穀類には、牛乳、卵、チーズ、肉類などを組み合わせましょう。
◎ビタミンCで吸収率アップ
ビタミンCが多く含まれる野菜や果物を組み合わせることで、鉄分の吸収率が上がります。
◎酸味や香味で吸収率アップ
酢や柑橘類などの酸味や、香味野菜、香辛料を適量使うと、胃の粘膜を刺激して、胃液の分泌がよくなり、鉄の吸収率もアップします。たとえば…
☆鉄分の吸収率を下げる食品、とりすぎに注意が必要な食品がある
逆に、鉄分の吸収率を下げてしまう食品もあります。代表的なのが、紅茶や緑茶、コーヒーに多く含まれるタンニンです。
また、食物繊維のとりすぎも、鉄の吸収をダウンさせます。気をつけましょう。
鉄分が多い食品の代表のようなレバーですが、初期の胎児の器官形成への影響が心配されるビタミンAが多く含まれているので、とる量に注意。
また、同じく鉄分が豊富なマグロには水銀、ひじきにはヒ素が含まれています。妊娠中はとりすぎないよう気をつけましょう。もちろん、鉄分が多い特定の食品ばかりを食べるのもNGです。
食品で鉄分を取る以外の方法
鉄分の補給は食事からが基本ですが、どんなにバランスの良い食事を心がけていても、1日に必要な鉄分を食事だけで摂るのは至難の業です。そんなときに頼りになるのが鉄鍋です。普段使っている調理器具を鉄鍋に変えるだけで、鉄分を効率的に摂取できます。鉄鍋はハードルが高いという人は、鍋に入れるタイプの鉄の球などもたくさん販売されていますので、活用してみましょう。
また、月経時や思春期、妊娠・出産など、特に鉄の需要が増加する時期は、サプリメントを飲んでみるのも一案です。鉄は過剰になると、それ以上吸収しない機能が働きますし、月経のある人は1日の用量を守れば、そもそも飲みすぎにはなりません。ただし、サプリメントにもヘム鉄と非ヘム鉄があり、非ヘム鉄は胃腸障害を起こしやすくなることがありますので、胃腸の弱い人は要注意です。非ヘム鉄の中でも、クエン酸とキレートさせているタイプのものは、胃腸障害が少なく吸収が良いのが特徴です。吸収率が高く、胃腸障害の心配のないヘム鉄を選ぶのも良いでしょう。
鉄分は必須栄養素でありながら、摂取が難しい栄養素です。鉄分不足はさまざまな不定愁訴を引き起こす原因になります。忙しい現代人は、食事の料理を気にしている時間や食べる時間も少ないかもしれません。しかし、年代を問わず、サプリなども積極的に活用して、意識的に摂りましょう。
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