ロルフィングから学べること

私自身がロルフィングを受けたのは約12年前です。一番役に立ったと思われるのは、その考え方に接し、学べることだったと思います。
自分の身体で立つということは、大地(=地球)も同じように自分を支えてくれていることを理解したり、それを通じて自信を得たり、さまざまな感覚を使うことで色々な意味で目を見開かれ、視点や自分自身が広がっていく感覚でした。

身体のある特定の部分に痛みがあっても、それだけを治そうとしていても、また治ることを期待してもまず難しいです。多くの人は他者に助言を求めたり、インターネットで治る方法を探し有名な医者を探したり、お金をかけ高額なサプリメントや治療を試したりしています。世の中は「介護に病気にお金がかかります」、「老後は〇〇〇〇万円必要です」、とそこらじゅう宣伝するし、不安も必要以上に煽られています。しかし、未来を不安がり将来を考えすぎてもキリがありません。

健康にとって一番大事なのは何でしょうか?健康に明け暮れる人、逆に自分を顧みず不健康な生活を送っている人もそれぞれですが、現状や自分の幸せと将来のバランスを考えてほしいです。

修行のように健康だけを考え、他者も許せなくなってしまい自分が狭くなっていく経験をしたこともある私としては、ロルフィングの考え方に救われました。今の私にとって大事なことは、自分の体がどのような状況であろうと、「大丈夫である」とポジティブに考え、周りの情報を鵜呑みにせず、自分の体に目を向けることです。私は、ロルフィングで、自分の身体の重さを感じたり、力を抜いたりして、自分の体に意識をむけ観察することにより、体をいたわる慈しむことを学びました。不健康な生活ほど欲求が満たされることも知っています。でも不健康な生活を続けるためには体や心が元気であり続ける必要があることも助言しておきます。数値化できない、小さく見える良質な経験や正しい感覚を積み重なることで、年齢を重ねていくうちに大きな意味につながっていくのです。

病気や身体が動かなかったり、痛みがあることは不安で辛いことですが、心が負けないようにポジティブに思いやりや日々の小さな幸せを感じながら生きるのが良いのではないでしょうか。体を健康体に治すという気持ちにだけ集中すると、完璧に戻るまでに納得ができなくなります。
お金をかけて、高い治療を受け、健康になる努力をしても、家族や周りとの間に愛や理解がなかったりするのは悲しいことです。そういう意味で、ロルフィングを受けるのも、治してもらうという受動的態度で常にいるのではなく、自分の一番大事なものは何かをはっきりさせ、自分がそこから何が学べるかというのをよく考えながら、受けていただけるのがいいのではないでしょうか。